地方にいる食品衛生監視員のブログ

あなたのお役に立ちますように(たまにネガティブなことも書きます…笑)

法改正で思うこと(営業許可編)

新年度になりました。よろしくお願いします。2021年6月でいろいろ変わりますね。

今回は新たな営業許可について書きます。

 

現行の34許可業種については、新設や統合をされて32許可業種になります。

・食品衛生上のリスクが大きいものは要許可へ(漬物製造業、液卵製造業等)

・     〃   が小さいものは不要許可へ

・まとめても支障のないものは1許可へ(味噌又は醤油製造業)

 

ざっくり言うとこんな感じです。漬物は不要許可でしたが、平成24年に札幌市で起きた食中毒(これは浅漬ですが)等の事件もあり、要許可になりました。逆に乳類販売業はただ冷蔵して売るだけで、ほとんどリスクがないので不要許可になりました。

(余談ですが、数年前のことです。仕事から保健所に帰る途中、町のとある売店に何気なく寄ったところ、小さなショーケースに牛乳が陳列されてありました。許可証も見当たらなく、許可があるかどうか検索してから話をしにまた来ようと思い帰ったら、その店の店主が乳類販売業の許可申請をしていたことがありました。名札を外して入店したんですが、何か察知したんでしょうか…。お咎めなしでしたがこういう無許可の摘発も減りそうです)

 

個人的にこの改正はとても歓迎です! なぜなら、

現状をしっかりと反映していて、業者と僕らの負担が減る傾向にあるからです。

 

食品衛生上のリスクに合わせて要許可と不要許可に振り分けられ、牛乳、包装食肉、丸売り魚、氷雪販売などは許可審査に行く必要がなくなりました。飲食の片手間でこういうことをやりたいお店や、町や病院の売店からよく相談があるかと思いますが、手洗い設備が作れなかったり、不浸透性材料でなかったり…。これでは許可が出せないと言って揉めませんでしたか? 今後はこういう揉め事も減り、許可審査に伴う事務処理も減ることでしょう。そもそもリスクがほとんどないのに、許可が必要なのかと疑問に思ってましたので、こういうマイナーチェンジは本当に嬉しいです。

 

それともう1つ大きいのが、カップ式自販機です。ほとんどのカップ式自販機は自動洗浄付きで屋内にあり、喫茶店営業を取得していると思いますが、それらの許可審査がなくなります

これ地域によってはかなり嬉しくないですか?

僕は一時期、とある工場地帯を担当していたことがあります。工場によっては敷地が広く、点々とカップ式自販機が置いてあるところもあり、しょっちゅう許可審査に行ってしました。しかも入るにはセキュリティーが厳しいところが多く、あらかじめ○○さんと約束をし、守衛で入る手続きをし、広大な工場の何階かまで歩いて行き…。飲食店のように気軽に「こんにちわ~」とか言って入れる感じではありません。自販機1台見るだけで結構大変です。某業者の方から聞いた話では、ある有名企業の工場に入るには1か月前から手続きをしなければならなく、守衛から先もたどり着くのが大変なので、そもそも見に行かない保健所もあるそうです。これからお互い楽になりそうです。

 

何気に統合されるのも嬉しいポイントです。

・清飲の許可があれば乳酸菌飲料も作れるようになる

食用油脂の許可があればマーガリン、ショートニングも作れる

・そうざい製造業があれば弁当も作れる(今までは飲食店営業が必要)

 

その他にいろいろありますが、業者は余分に許可を取らなくてもいいこと、それによって生じる事務処理や無許可の発見が減るメリットがあります。多いと1工場で8許可くらいあり、更新時期もばらばらだと毎年行くなんてこともざらでしたが、それも減りそうです。

 

もちろん大変なことも多いと思います。区画や区分の考え方、新たな許可の範囲の解釈など、詰めることはいろいろありそうですし、今までの考え方を一新して、新しい考え方を脳に叩き込まないといけません。もし私が50歳前後ならついていけずに退職を決めると思います。それと、漬物製造業はお爺ちゃんやお祖母ちゃんが台所や物置でやっているところもあり、そういう店は廃業を避けられないと思います(個人的にこういう店に行くのは好きですが…)。営業許可については6月以降にまた書きたいと思います。